20.2. 生物多様性の消失
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よって、生物多様性の消失は個々の種の運命より多くの要素を含む
遺伝的多様性
もし、地域個体群が失われ、種内の個体数が減少すると、その種の遺伝的資源も減少する 遺伝的変異における深刻な減少は、種の存続を危うくする
地球上の全生物の膨大な遺伝的多様性は、人間にとっても大きな潜在的利益となる
生物学的探査は、世界の食料供給にとても手がかりを与えてくれるかもしれない
たとえば研究者は、東アフリカや中央アジアの穀物収量に打撃を与えているコムギアカサビ病の新たなウイルスの拡大を緊急に阻止しようとしている 世界で利用されている小麦品種の少なくとも75%がこの病気に関連する
しかし、研究者は野生の小麦から抵抗性のある遺伝子を見つけることを期待している
種の多様性
我々が生物圏(バイオスフィア)に与えている損害からみて、生態学者は人間が種を驚くべき速度で絶滅に追いやっていると考えている 現在の種の消失速度は、過去10万年のどの時代のそれより1000倍以上高いかもしれない
何人かの研究者は、今の破壊の速度で進むと、現在生育している植物や動物の種の半分以上が今世紀の終わりまでに消えてしまうと予測している
最近の犠牲者
揚子江に生育していたカワイルカで、1950年以降に絶滅した最初の大型動物 コスタリカの高地の固有種で、1989年以降確認されていない
現在のいくつかの例
世界で記載されている鳥類9934種の約12%、哺乳類5416種の約20%が絶滅に脅かされている 世界で記載されている淡水魚の約20%が、人類が登場してからの歴史において絶滅したか、あるいは現在、絶滅の危機に脅かされている 記載されているすべての両生類の約32%がほぼ絶滅あるいは絶滅の危機に瀕している 米国で記載されている植物約2万種のうち、信頼できる記録がとられるようになって以来、200種が絶滅し、あるいは730種が絶滅危惧種または絶滅危急種 生態系の多様性
生態系の多様性は、生物学的多様性の3番目の要素
生態系内の異なる種の個体群間における相互作用のネットワークのため、ある種の局所的な絶滅は生態系全体に負の影響を与える
生態系サービスも失われる
生態系の機能から提供される人間にとって直接的または間接的な利益
空気や水の浄化機能、気候調節、砂防などが含まれる
人口増加を支える資源を獲得するために熱帯林が破壊されている 世界のサンゴ礁のおよそ20%が人為活動で破壊され、24%が差し迫った崩壊の危機にある
もしそれらが保全されなければ、サンゴ礁の26%が今後数十年の間になくなると予測している
生物多様性を減少させる要因
生態学者は4つの主な要因を特定した
生育地の破壊と分断化
侵略種
卵殻
汚染
人間のかつてない分布拡大と優占は4つの要因の根幹
生育地の破壊
農業、都市開発、林業、鉱業による生育地の大規模な破壊や分断化は、生物多様性に対する最も大きな脅威 国際自然保護連合がまとめた、世界の種の保全状況に関する情報によると、近代史における種の減少の73%は、生育地の破壊が原因であることを示唆している
侵略種
移入種は在来種と競争し、あるいは在来種を捕食、感染したりする
新規参入種の増加を抑える他種との競争の欠如は、外来種が侵略的になる重要な要因
乱獲
海洋漁業は、人間が野生生物の個体群の再生能力を越えた漁獲率によって乱獲することを示していた
過剰伐採は植物種も脅かしている
汚染
淡水生態系は、化学物質、栄養素などによっても汚染されている
空気や水の汚染は、世界中で数百種もの個体群が減少している要因